建築施工図の種類

建築施工図に求められる内容にはどのようなものがあるのか、ということを前回は書いてみました。
実際に仕事で建築施工図を作図してみると、色々と要望は多岐に渡るんだということを感じます。
趣味じゃなくて仕事でやっている訳ですから、時間と予算に限りがある中での作図が前提です。
そんな状況なので、図面を見る側の要望に全部応えるのは不可能だ、と思うことも多いです。
でも、やはりプロとしてその仕事に携わっている訳で…
もちろん限度はありますが、それでも出来る限りの要望には応えていきたいと私は考えています。
あんまり無理をしすぎると、要望される内容と現実とのギャップに苦しむことになりますが…
そのあたりはプロとして、バランス間隔を養っていくしか手はないかも知れませんね。


■建築施工図の種類
建築施工図に求められる内容については、とりあえずこのあたりにしておきますね。
これからもう少し具体的な話をしていく中で、求められる内容については細かく説明出来るはず。
なので、ひとまず大まかな話はここで終わりです。
そして今回は、建築施工図の種類にはどんなものがあるのか、ということについてお話をしていきます。
建築現場で使われる図面を建築施工図と呼びますが、一口に建築施工図と言っても、図面の種類は割とたくさんあります。
建築工事には様々な工事がありますから、その工事ごとに必要な図面は違い、その分だけ建築施工図の種類があることに。
そんな建築施工図の種類を大まかに分けると、大体以下のような区分になります。
・躯体図
・仕上図
・外構図
これから、それぞれの区分ごとに簡単な説明をしていきます。
□躯体図
躯体図というのは、建物の骨組みであるコンクリートを施工する為の図面のことを指します。
建物の骨組みは、どんな構造かによって違ってきますが、規模が大きい場合にはコンクリートか鉄骨が多いです。
木造は個人住宅で良く使われますが、木材の性質上、あまり大きな建物には向かないんですね。
なので、一般的に躯体図というと、コンクリート施工図というような呼ばれ方をされます。
建築現場でコンクリートを施工するには、木や鉄で造られた「型枠」が必要になってきます。
もう少し具体的に言うと、工場で造った生コンをミキサー車で運び、それを型枠に流し込んで固める、という手順ですね。
建築施工図では、どんな大きさの型枠を造れば良いか、という内容が記載されています。
もちろん、そうして造ったコンクリートが仕上材で最終的に隠れることも検討して、です。
そしてなおかつ、構造図に記載されている内容に沿った建築施工図であること。
躯体図にはそんな内容が求められます。
また、建物の骨組みは工事の割と序盤に行われる為、図面が必要となる時期も早めになることが多いです。
そんな訳で建築施工図はまず躯体図から作図します。
□仕上図
躯体図が建物の骨組みであるのに対し、建物の仕上げを施工する為の図面が仕上図になります。
コンクリートもしくは鉄骨などで建物の骨組みが出来上がると、建築現場では仕上工事に入ります。
その際に、壁に位置がどこにくるのかとか、コンクリートとの関係がどうなるのか。
仕上図ではそのあたりを表現することになります。
躯体図に比べると、工事のタイミングは少し後になってきますが、だからと言って仕上図が後でも良いかというとそうではありません。
建築現場でコンクリートを施工する前に、その位置に骨組みを造っても問題ないか。
それを確認する為、やはり躯体図と同じくらいのタイミングで仕上図も必要になってくるんです。
もちろんこの時点では、内装仕上工事のの詳しい情報が出ていない場合も多いです。
そうなると、ひとまずどんな仕上になるかを想定して、それでコンクリートの位置を決めることになります。
作図段階で全ての資料が揃っている訳ではない為、今までの経験などを使って仕上位置を決めたりすることも。
□外構図
建物の外装が終わって仕上げ工事が始まるくらいのタイミングで、建物の害獣まわりの図面が必要になります。
建物外部にどんな樹木を植えるか、道路のレベルはどうなのか。
などなど、建物周辺の情報や道路などの情報を盛り込んだ図面のことを外構図と呼びます。
基本的には工事の最後のあたりで必要になる図面ですが、敷地の状況によっては最初に必要となる場合もあります。
建物を建ててからでは建物が邪魔で、工事用の重機が搬入出来ないとか。
そういう場合には、躯体図よりも先に外構図が必要となることもありますので、これは事前に確認が必要となります。
建築施工図の大まかな区分については、大体こんな感じで考えておけば問題ないはずです。
躯体図・仕上図については、それぞれさらに細かい区分がありますので、それは個別に改めて説明をしていく予定です。
という訳で、これからはこの項目ごとの詳細説明に入っていくことにして、概要の説明はこのあたりで終わりにしておきます。