完璧時な図面じゃなくても構わない場面も

建築施工図を仕事にする為には、建設現場で必要とされる前に、建築施工図を完成させておく必要がある。
前回はそんな内容の話をしました。
建築施工図には「納期」という賞味期限がある…
ということで、それを踏まえた仕事をするには、時間の感覚をしっかりと持っている必要があるんです。
これは建築の知識などとは全然関係のない話ですが、実際の仕事で求められるスキルですから、身につけておいて損はないはず。
というか、このスキルがないと、建築の知識とか納まりをよく知っているとか、そういう話が全て空しいものに変わってしまいます。
それでは勿体ないので、やはり仕事の根っことなる時間の感覚は、何よりも先に身につけておきたいところです。


■100点満点の建築施工図
建築施工図が必要とされるタイミングについて書いたので、現場から言われて印象に残っている話をついでに。
80点の施工図ならそれでも構わないから、やっぱり必要なタイミングで施工図は現場に発行して欲しい。
これは今まで何人かの監督さんに言われてきたことです。
恐らくはこれこそが、建築現場で建築施工図を必要としている側の本音ではないか…
ちょっと大げさな書き方をしすぎている感じはありますが、私は実際に仕事をしてきてそういう感触を持っています。
80点の状態でも良いから、必要な時には建築施工図を発行して欲しい。
これは逆に考えると、どんなに100点満点の建築施工図を書いたとしても、必要とされる時期を過ぎていたら0点。
という考え方も成り立つ訳ですよね。
プロとして全力で建築施工図を書いてきて、「この施工図は0点」と言われるのはショックが大きいです。
そういうのは出来れば避けたいので、少なくとも80点の評価をされたいところですよね。
■80点でも構わない?
必要な時にきちんと用意されていないと、相手から「0点」という評価を受けかねない建築施工図。
だから、現時点で80点の図面しかなくても、現場には情報を流していき、あとの20点分は打合せながらまとめていく。
そういう仕事のやり方が求められている訳ですね
もちろんパーフェクトな建築施工図がベストではあるんですけど、それが出来ない現実もあるので。
そういう場合には、70点でも80点でも、必要という要望に応えるのがプロの仕事ではないでしょうか。
これは確かにその通りで、私も心から納得する話です。
確かにその通りなんですけど、実際に80点の状態で現場に建築施工図を発行するのはキツイ。
これが、建築施工図を書く側の正直な意見だったりもします。
だって、発行を迫る時には「80点でも」と言いながらも、やっぱり足りない部分があれば「ここが違う!」ってなるから。
それに「80点でも良いから」と言われても、「今のところ30点なんですけど良いですか?」とは聞けないし…
建築施工図を書き始めたら、進捗状況としては恐らく「0点ではない」ことになります。
ただ、それが30点なのか50点なのか、あるいは80点なのか100点なのか…その違いって結構大きいですよね。
そして、なかなか自分では「まだ30点くらいの状態です」って言えないところもありますよね。
■ベストを目指すのも良いけれど
建築施工図を書き始めた時には、出来るだけ短時間で100点満点の図面となることを目指します。
でも現実はなかなかそう上手くは行かない。
だからこそ、ある程度固まった段階で現場には流していくしかない、という状況が発生することになります。
もちろん理想は100点の建築施工図を書くこと。
かと言って、本当に完璧な建築施工図がまとまるまで待っているのは、時間を考えると現実的ではない。
それは技術者として充分に分かっています。
だから、結局は色々とバランスを取りながら、上手いことやっていくしかないんです。
仕事ですから、何でも完璧で思い通りに進むなんてことは絶対にありません。本当に、絶対にありません。
だから常にベターを選択していくしかない。
そこで頑張ってベストを目指しても、自分の中だけで解決しないので、苦しくなるだけの話です。
だからこそ、80点の状態でも図面を発行しようという話をするんです。
仕事って難しいですよね。
だからこそ面白いという意見もありますけど、難しさと面白さはセットになっているんでしょうね。