時間=コストの感覚も必要になってくる

前回は建築施工図を仕事にする上で、絶対に無視することが出来ない「単価と時間と時給」について考えてみました。
出来ればこうした”ややメンドクサイこと”は考えないで済ませたい。
私も昔はそう思うことがありました。
でも、自分が毎日全力で仕事をこなしていて、それが果たして利益になっているのか、というのは気になりませんか?
私はやっぱり気になります。
仕事の大きな目的は利益を上げることですから、プロとしてそれをクリアすることが出来ているか。
もし気にならないのであれば、多分気にした方が良いと思います。
趣味で建築施工図を書いているのではなく、仕事で建築施工図を書いているのであれば。


■評価とお金の関係
プロとして建築施工図を書く。
一日の中でかなりのウエイトを占めている仕事ですから、出来れば相手からきちんと評価をされたいですよね。
これは建築施工図の仕事ではなく、違うジャンルの仕事であっても、同じような話なのではないかと想像します。
評価をする相手というのは、自分が所属している会社であったり、もしくはその会社の取引先であったりですね。
一番身近なのは、やっぱり自分が所属している会社かな。
会社から「君は優秀だね」って言われることで、ある程度の評価を確認することも出来ます。
でも、非常にイヤな言い方をすると、それは口だけの可能性もある訳です。
褒めるだけであればタダですから。
そうした漠然とした言葉よりも、最終的には誰が見ても分かる数字である「給料」という形で評価をして欲しい。
それがプロとしてごく自然に考える事ではないでしょうか。
何だかこういうことを書いていると、自分がもの凄くガメツイ人間になったような気がします。
■会社と個人の違い
大抵の会社員がそうだと思いますが、給料には基本給と呼ばれる固定した収入がありますよね?
しかし会社対会社には、そういう考え方が原則としてありません。
例えば建築施工図で言えば、1ヶ月に作図完了した枚数分の請求書を出す、という感じですね。
会社員は1ヶ月会社に通っているだけで、もしかしたら低いかも知れませんが、一定の収入が保証される。
仮に1ヶ月に2枚しか作図をすることが出来なくても。
しかし会社は、1ヶ月に2枚しか作図出来なかったら、取引先に2枚分の請求書を出すことしか出来ません。
建築施工図1枚が3万円であれば、6万円の請求書を。
会社と社員とでお金に関する感覚がちょっと違う、というか決定的に違う、というのが何となくでも伝わるでしょうか。
もし会社が社員に1ヶ月6万円以上の給料を支払っているのであれば、会社としては仕事をやるほど赤字になります。
しかも、社員の交通費だとか、パソコンとオートキャド(AutoCAD)を用意したりとか、そういう経費もあります。
1ヶ月に2枚しか作図しない社員がいたら、会社は利益ではなく、逆に損害を受けることになる、ということです。
■お客さんの気持ちも考えてみる
もちろん、そんな仕事ぶりをずっと続けていけば、会社としてもその社員をある程度評価せざるを得ません。
「もう見込みがないのでは?」と。
まだ経験が浅くて、今後良くなる可能性を秘めているのであれば、恐らく会社も我慢すると思います。
でも、そういう「伸びしろ」を感じられないのなら、仕事を失う可能性もありますよね、普通に考えて。
会社も慈善事業で仕事をしている訳ではないので、こうした決断はある程度仕方がないことだと思います。
これが小さい会社であればある程、遊んでいる社員を養っていく力がない為、そうした話が出やすいことになります。
何というか…厳しい時代だなと感じることもあります。
でも、お客さんの要望にプロとして応えようとするのは、今も昔も変わらないことだとも思ってます。
例えば、自分が建物を建てる側に回ったら、実際にどんなことを考えるかを少し想像してみると…
恐らく「出来るだけ早く、そして安く建てたい」と思うんだろうな、という感じがします。
それは私だけではなく、他の人が建物を建てる場合でも、多かれ少なかれそういう気持ちがあるはずです。
そういうお客さんの要望にはプロとして応えなくちゃ。
建築施工図を書く仕事の場合、相手が望んでいるのは以下のようなポイントで、それは非常にはっきりとしています。
・間違いのない建築施工図を
・出来るだけ短期間で
・安く作図して欲しい
企業努力で何とか頑張っていくべきこと、そして「これ以上は無理でしょ」ということ。
まあ色々あると思いますが、自分に出来ることは全力でやっていく、というのが正解ではないか。
そんなことを考えています。