建築施工図に必要な情報

建築施工図を仕事とするにあたり、何か建築系の資格で必要になりそうなものはないか。
前回はそんなことを考えてみました。
一級建築士、もしくは二級建築士を持っていると、建築系の仕事をする上で少しは役に立つかも知れません。
今から資格を取得しようとしているのであれば、やはり建築士の資格を考えてみることをお勧めします。
山は険しいほど、それを乗り越えた時の感動が大きくなります。
数ある建築系資格の中でも、ひときわ難易度の高い建築士の資格は、登るに値する山だと思いますよ。
別に感動を味わいたくて資格を取得する訳じゃないんですけど…
それでも資格を持っているのと持っていないのとで、どちらが好ましいかを考えると、資格を持っている方ですよね。
受験資格を満たしているのであれば、本気で取り組んでみることをお勧めします。


■施工図に必要な情報
建築施工図の仕事と資格の関係はこのあたりにしておき、今回は建築施工図に記載すべき内容について。
そろそろ少しは具体的な内容について書いていかないと、概要的な話ばっかりで内容がないと思われそうですから。
建築施工図は設計図をベースにして作図を進めるというのは、何回か前の書いたと思います。
そして、建築施工図を作図する技術者として必要になってくる知識とかスキルについても。
それらの情報を合わせると、建築施工図がその役目を果たす為に必要となる条件が、少しは見えてくるはずです。
□CADによる作図+データ管理
建築施工図は現在CADで作図されるのが当たり前です。それにプラスして、最新図をしっかりとデータ管理していくことも求められます。
□設計図をきちんと読みとる
建築施工図のベースはあくまでも設計図ですから、そこから逸脱しない内容の図面である必要があります。
□設計図通りとならない部分については打合せ済み
とは言っても、何もかも設計図通りになるとは限りません。
コスト的・物理的な問題によってそれが不可能である場合には、事前にその内容を設計者と良く打合せしておく必要があります。
そうしないと、出来上がってから「イメージと違う」「設計図通りじゃない」という理由でやり直しになることも…
建物を建てる前に確認する為に作図するのが建築施工図です。
なので、建築施工図を作図してもそれがやり直しになってしまう、という状態だけは避けたいものです。
□建築基準法を遵守した建物
法を満たしているかどかを確認するのは、基本的に設計者の役割ということになります。
ですが、建築施工図を作図する際にもう一度念のために確認しておくと、なお良いでしょう。
□使用する仕上げ材によって下地の位置が決められている
下地の位置とは、コンクリートとか鉄骨とかを指します。
これら下地の位置が最終的な仕上げよりも前に出ている、みたいなことがないような図面である必要があります。
□施工の面からも検討されている
これは建築施工図というよりも、施工サイドでしっかりと検討されるべき内容です。
なので、作図者としてはあまり気にする必要はありませんが、明らかに施工出来ない図面は避けるべきです。
狭すぎて施工が難しいとか、出来ない事はないけれど手間とお金がかかるとか。
そういう図面にならないよう、机上で作図する役割であったとしても、実際の現場を出来るだけ知っておきたいところです。
□建築現場で使う際に設計の承認を得ている
建築施工図は基本的に、現場でその部分の図面が必要になる時までに打合せが済んでいる必要があります。
打合せが済んでいるということは、設計者に「この施工図でOK」という確認がとれたということ。
工事のタイミングと設計が確認する時間を考慮して、適切なタイミングで作図をするのが策す者の役目です。
□必要な寸法が分かりやすく記載されている
建築施工図は現場で施工をする為に使われる図面ですから、きちんとした施工が出来るようなずめんであることが求められます。
例えば部屋の入り口にドアがあったとします。
そうすると、そのドアが壁からどのくらい離れているか、そのドアの大きさはどの位か、などが具体的に記載されている必要があります。
また、仮にそうした寸法が記載されていたとしても、それが分かりやすいかどうかも重要なポイントです。
作図している本人は、明るい机の上で図面を見ることがほとんどですが、実際に使う人はそうじゃありません。
机の上よりもはるかに暗い現場で図面を拡げる訳ですから、出来る限り分かりやすく作図する必要があるんです。
これは気をつけていてもなかなか徹底できないことなので、私も作図する都度「分かりやすい図面」を心がけています。
まあそれも限度がありますが…
見る側は、ちょっとでも分かりにくい場合には「書いてない」とか「分かりにくい」と思います。
作図している側からすると「もう少し良く図面を見て欲しい」ということになるので、お互いの意見が合うのは難しいんですよね。
…と、このように、建築施工図に求められている内容は割と色々なものがあるんです。
なかなか完璧な建築施工図というのは難しいんですけど、プロとして出来るだけ要求には応えたいものです。