建物の基礎について考える

前回は建築施工図を書く為に必要な知識として、杭の種類について簡単に説明をしてみました。
躯体図の中で、杭伏図は現場で一番最初に必要とされる図面です。
作図の順番としては最初ではない場合もありますが、それでも建築施工図の中では序盤に必要な図面になります。
だから建築施工図の知識として覚える順番も、割と最初の方になるんじゃないかと思います。
覚えるべき項目としては、他の建築施工図に比べれば、それほど多いものではないはず。
どんな目的で杭が使われるのか、どんな種類の杭があるのか、そして躯体図として必要な情報は何か。
このあたりを押さえておけば、杭伏図を作図するのはそれほど難しいことではありません。
自分が作図する建物の杭がどんな仕様なのかを知っておき、それを杭伏図という成果品に表現する。
ただそれだけです。
もちろん、「それだけ」と言えるようになる為に必要となる知識は、出来るだけ分かりやすく説明をしていきます。
前回や今回の説明を読んで、しっかりと覚えてしまいましょう。
前回は杭基礎について説明をしたので、今回は杭のない基礎ということで「直接基礎」を取り上げてみます。


■直接基礎とは
前回の区分でも軽く触れましたが、「直接基礎」というのは「杭基礎」と並ぶ大きなカテゴリに分類されています。
「直接基礎」の下にはさらに細かく分類され、幾つかの直接基礎が存在するという構成になっています。
もちろんそれぞれの仕様についても説明していきますが、その前に、大まかな分類としての考え方を説明します。
「直接基礎」というカテゴリに入る基礎は、杭基礎とはまた違った、共通の考え方がひとつあります。
それは直接支持層に接している基礎である、ということです。
読んだままですけども……
杭基礎の特徴を考えてみれば、杭基礎と対を成す考え方の基礎であることが分かるはずです。
■建物の荷重を伝達する
建物の荷重というのは、建物自体の重さの他に、設備とか家具とか人とかの重さが加算されます。
その荷重が床から梁、梁から柱、柱から基礎まで伝達されてくる訳ですけど、それをどのように支持層まで伝達させるか。
支持層が深い地盤などでは支持層まで建物の荷重を伝える為に、杭という細長い物体を打ち込みます、
そして杭と基礎をしっかりとつなげる訳です。
しかし直接基礎の場合は、そこまで支持層が深くない場合に採用されることが多いです。
建物の荷重が基礎から直接支持層に伝達される為、深い地盤まで杭を打ち込む必要がない。
そういう場合ですね。
直接基礎は大きなくくりで、実際にはもう少し細かい区分がありますが、基本的な考え方は同じです。
・独立基礎
・べた基礎
・布基礎
前回は直接基礎の区分として、上記のような分類で紹介をしましたので、これからそれぞれの基礎について説明をしていきます。
■独立基礎
独立基礎というのは、これまた読んだままではありますが、それぞれの基礎が独立して存在しています。
この独立基礎を「フーチング」と呼ぶこともあります。
人によっては「グ」を省略して「フーチン」と呼ぶこともあって、経験があまりない時期はよく混乱していました。
が、そうするに皆一緒の基礎を言っています。
それぞれの柱の下に、それぞれ基礎が設けられるパターンがほとんどで、それぞれの基礎をつなぎ梁で連結する。
そうした納まりとする場合には、独立基礎が採用されることになります。
建築施工図の作図者として、実際に幾つかの建物の建築施工図を書けば、その中のひとつは大抵独立基礎である。
……と言っても言い過ぎではない、というくらいにメジャーな基礎構造のひとつが「直接基礎」なんです。
そして、建築施工図としてなかなか複雑になるのも、独立基礎の特徴のひとつでもあります。
杭伏はそれほど複雑ではありませんが、独立基礎を採用した建物の基礎伏図はなかなか手強いですよ。
そのあたりの話はもう少し後でのお楽しみということで……