杭伏図に必要な情報を考える

前回は、建築施工図の中で、躯体図と呼ばれる図面には色々な種類がある、というような話をしました。

そして実際に躯体図の分類として、どのような図面があるのかも一覧で紹介してみました。

思っていたよりも種類がなかったような気もしますが…

まあ忘れていたら後から追加で説明をすることにして、今回からはそれぞれの躯体図についてもう少し詳しく説明をしていきます。

順番としては、施工の順番に沿って説明していくのが楽なので、まずは杭伏図を取り上げてみましょう。



■縁の下の力持ち

最近に建てられた建物などを見ると、デザインに凝っているというか、まあ上手く言えませんけどカッコイイ建物が多い気がします。

私が住んでいる建物とはえらい違い。

とか思いつつも、そうしたカッコイイ建物の施工図を書けたらいいな…とか思ったりしています。

建物というのは後々まで残るもので、やっぱり地図に残る仕事というのは良いものだと私は思っています。

ただ、我々が見て「いいなー」と思ったりする建物というのは、当然のことですが外見だけなんですよね。

人間の体で言えば皮膚と洋服、そして化粧というイメージかな。

ま、これはごく普通の話ではあります。

だって、「やっぱりこのコンクリートで作られた柱は最高だよなー」とかだったらマニアック過ぎて怖いですから。

人間も皮膚と服だけでは生きられないように、人の寿命以上に長生きする建物にも骨とか肉が必要です。

それが今まで説明してきた建物の骨組みなんですが、今回取り上げる「杭伏図」というのは、骨組みの中で特に重要な役割を持っています。

人間にとっては体を支える役目をもつ「脚」という感じかな…まあ無理に例えなくてもいいか。

建物にとって杭というのは、建物自体の重さを支える為の、非常に重要な要素なんですね。

具体的な説明は後でしていきますが、杭とは建物の重量を地下の固い地盤(支持層と呼ばれます)に伝達する役割を持っています。

もし杭がない場合はどうなるのか…

恐らく、柔らかい地盤の上に建てられた重量のある建物は、自らの重さで地盤の中に少しずつ沈んでいくでしょう。

そうならないように杭を支持層まで打ち込んで、建物の荷重を支持層で支えてもらうんですね。

建物のデザインが良いと付加価値があって良いですが、それ以前の話で、建物として最低限の機能を満たしている必要があります。

簡単に倒壊しない、建物の中に水が入ったりしない、隙間風が入ったりしない、などなど基本的な部分ですね。

「そんなこと当たり前」と思ってますよね?

だからこそ、建物を使う人が当たり前に思っている性能については、当然のこととしてクリアしておく必要があるんです。

杭というのは、その中で「簡単に倒壊しない」為に施工される、最も重要な役割を持つ構造体なんです。

これで少しでも杭の重要性が伝わると良いのですが。

そんな重要な「杭」を施工する為に必要な図面が「杭伏図」ということになる訳です。

■杭伏図に必要な情報は?

建物にとって非常に重要な要素である杭ですが、躯体図を書く際の手間という部分だけを考えると、実はそれほど難しいものではありません。

その理由はどこにあるのか。

というと、割とシンプルな形状で、躯体図を読み取って施工をする業種が少なく、他の業種との絡みもあまりないからです。

もう少し具体的に書くと…

・杭の形は基本的に円形がほとんど

・杭伏図を見て実際に施工をするのは杭施工業者のみ

・他の部材との絡みは杭の頭と基礎の連結部のみ

だから、躯体図としてはそれほど難易度が高くないんです。

これとは逆のパターンで、形状が複雑で様々な業種が込み入った部分の施工図は、当然のことですが難易度が高くなります。

そうした躯体図も後でたっぷり登場しますが、今回説明する杭伏図は割とシンプルになると思います。

建築施工図として、現場では杭伏図を見て実際の施工をされる訳ですが、間違いのない施工をする為に必要なのはどんな情報でしょうか。

自分で実際に杭を施工するつもりになって考えてみると、少しはイメージできるかも知れません。

私なら以下のようなことを知りたいです。

・どんな仕様の杭なのか

・杭の長さはどれくらいか

・どこに杭を打ち込むのか(平面的な情報)

・どの深さまで杭を打ち込むのか(レベル的な情報)

・杭の頭はどのレベルになるのか

大体こんな感じですね。

杭というのは基本的に円柱状の物体ですから、製品の仕様と位置+レベルはどうしても必要になってきます。

これらの情報は、実際の躯体図として杭伏図に書き込んでいかなければならない情報たちです。

今回取り上げた杭伏図に限った話ではなくて、その他の建築施工図に共通して言える話ですが…

建築施工図を書く際には、実際に自分でその施工図を使うことを想像しながら作図することをお勧めします。

実際にどんな事を検討して、躯体図としてどうまとめていくのか。

これはもっと別の機会に説明をしていきますので、まずは杭伏図に盛り込むべき情報だけを覚えておいてください。

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